コミュニケーションからみた勧誘のしくみ : 日本語教育の視点から(<特集>コミュニケーションの社会言語科学)
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概要
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本稿では,「勧誘」の発話や構造が具体的な状況とどのように関係するかを知るためには,(1)発話(2)談話(3)言語行動という三つのレベルに分けて分析する必要があることを指摘した.人を誘い行動を共にすることを目的として行われる勧誘は,<勧誘><勧誘の内容に関する相談><実行の手続きに関する相談>という三つの部分からなる,共通した談話構造をもつ.談話型のバリエーションは「誰が誰といつどこで何をなぜするか」という勧誘に関する情報がどの程度共有されているか,既に決定しているのか,相談して決めるのか等の状況の違いによって決まり,各部分にどのような機能をもった発話が現れるかも決まる.話し言葉の教育には,発話の機能やストラテジーだけでなく,談話の構造についての知識が重要であり,状況設定に配慮することによって,談話構造や発話をコントロールしながら,「勧誘」を体系的に提示したり,練習したりすることが可能になると考えられる.
- 社会言語科学会の論文
- 2003-07-31