接続助詞ケドによる言いさし表現の談話展開機能
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概要
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接続助詞は本来,節と節とをつなぎその関係を表すという機能を持つが,談話場面においては,そのような機能を持つはずの接続助詞が後節を伴わない形で用いられることも多い.本稿においてはそのような接続助詞による言いさし表現のうち「ケド」で終止するものについて,それを「談話」という単位の中でとらえることによって,この表現形式が従来指摘されてきた「やわらげ」などといった表現効果に関わる機能の他に談話展開に関する機能を持つという,言いさしという表現形式について,これまでの研究では言及されることのなかった新しい側面を示した.本稿で明らかにしたのは次の2点である.まず1点目はケドによる言いさしはトピックの展開に関して,提示された発話内容がその後のトピックとなることを明示する機能を持つということである.そして2点目はturn-takingに関して,ケドによる言いさしは従来指摘されるようにturnを譲渡するだけでなく,その後の談話の進め方を完全に相手に委ねてしまうことを示す機能を持つということである.
- 社会言語科学会の論文
- 2001-03-30