非母語話者同士の日本語会話における言語問題(<特集>>日本の言語問題)
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概要
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本稿では,日本語非母語話者のみが含まれる日本語の会話における言語問題を扱う.異なる背景をもつ非母語話者による6つの日本語の会話に基づいて,会話参加,言語バラエティーの選択,意味交渉の3点につき,言語問題の管理プロセスを分析した.分析の結果,第三者言語としての日本語が使用される接触場面においては,(1)日本語は弱い「基底規範」としてしか働かず,それ以外の規範から言語問題が生ずること,(2)参加者は言語ホスト-ゲストの関係を確立できないために,そうした関係以外の言語管理プロセスが生ずること,(3)参加者にとって言語問題は訂正などによって「解決すべき問題」としてよりは,規範の変更や無視などによって「管理すべき問題」として見なされる,ことが明らかになった.最後に以上のような言語問題の研究が,ポスト近代社会のコミュニケーションを考えるうえで重要な視点を提供する可能性を論じた.
- 社会言語科学会の論文
- 1999-09-30