マイナス待遇行動の表現スタイル : 規制される言語行動をめぐって
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概要
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聞き手をマイナスに待遇する言語行動には対人関係を維持するために規制がかかる.このとき,発話のどの部分に運用の規制が生じどのように発話が構築されるかについて論じた.実験的調査によって得られた発話データを分析した結果,若年層男性はぞんざいな言語形式を用いることによってマイナス評価を表明しているが,ぞんざいな言語形式を用いることが規制されている実年層の話者は,表現内容や表現量によってマイナス評価を表明する傾向が明らかになった.この結果は,ある言語要素の運用に強い規制がかかる場合,規制が緩やかな別の言語要素を用いることによって表現欲求が満たされ,補償的な表現スタイルが形成されるという言語行動の性質を示すものである.そして規制のかかり方や規制に対する補償のあり方は,話し手の慣習や能力によって異なることが予想される.
- 社会言語科学会の論文
- 1998-11-30