「つながり」を生きる : 非正規移民支援活動を手がかりとして
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
今日、NGO・NPOやボランティア活動は、新しい公共性の担い手として注目されると同時に、ネオリベラリズムへの動員ではないか、と懐疑されてもいる。では、ネオリベラリズムに動員されない形でのボランティア活動は、どのように可能なのだろうか。本稿は、今日「リスク」として捉えられている非正規移民の支援に携わる人びとへのインタビューを通して、彼らが、自らと非正規移民をともに含む〈社会〉をどのように仮構し、また、それを参照しながら、両者の関係性をどのように意味づけているかに着目することによって、この問いに答えることを目的としている。そこから明らかになったことは、支援者たちは、超越的・普遍的に「移住者の人権」を主張するというよりもむしろ、日常の支援活動で移住者と対面的な接触をするなかで、自身と移住者をともに含むより大きな〈社会〉を仮構し、また、それによって両者の関係性を意味づけているということである。また、その〈社会〉の想像力は多様なものであり、本稿では、それらを四つの視点から紹介した。さらに、これらの想像力は、移住者との対面的な関係のなかで常に問い直されてもいる。つまり、これらの想像力は、そのどれもが一つだけではあらゆる非正規移民をそこに位置づけるには十分ではないが、複数の併用と恒常的な問い直しのなかで、非正規移民と自らを含むより大きな〈社会〉が仮構され続けているのである。
- 関西社会学会の論文
- 2007-05-26
著者
関連論文
- エスニック・マイノリティの不可視化と排除に抗するために (特集 雑色のペスト--現代排外主義批判)
- 座談会 共に生きるための連帯 (特集 生存権)
- 住民とは誰か--外国籍者の包摂と排除の観点から (特集 移民の時代)
- 脱国民化された対抗的公共圏の基盤 : 非正規滞在移住労働者支援労働組合の試みから
- 在学率と通学率から見る在日外国人青少年の教育--2000年国勢調査データの分析から
- 反対を押し切り「外国人いじめ法案」成立 何のための入管法改定か
- インパクト・レヴュー Politics & Action 日本版US-VISIT導入を目前に控えて
- 「つながり」を生きる--非正規移民支援活動を手がかりとして
- Multiculturalism in Japan: a victory over assimilationism or subjection to neo-liberalism? (特集 国際学術会議 多文化主義、そのヴァラエティ)
- 「外国人」にたいする職務質問の実態 (特集 「安心・安全」な社会を考える)
- 「不法滞在者」とは誰か?
- 書評 佐竹眞明編著『在日外国人と多文化共生--地域コミュニティの視点から』
- 在日外国人の仕事--2000年国勢調査データの分析から
- 家族・ジェンダーからみる在日外国人--2000年国勢調査データの分析から
- 「無国籍者」の政治と権利--非正規移民を思考するために
- 公共性論の限界と可能性--ハンナ・アーレントを導きとして
- 「つながり」を生きる : 非正規移民支援活動を手がかりとして