フランス「地域通貨」と社会的連帯の経済 : 地域交換アソシアシオン(SEL、RERS)における相互性
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概要
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過去数年のあいだ国内で急速に広まっている地域通貨は、様々な目的で実践されているが、実践志向であるがゆえに混乱も生じている。本稿では、フランスの地域交換アソシアシオンであるSEL(地域交換システム)とRERS(知識の相互交換ネットワーク)の仕組みを検討す。そしてこれらのフランスにおける経験を事例にしながら、地域通貨を社会・連帯経済の歴史的な文脈でとらえると同時に、地域通貨による紐帯形成について考察する。連帯経済は、これまでの福祉国家のように、それを構成する「市場」と「再分配」の二原理だけでは不十分なものと考え、第三の原理である「相互性」をもう一つの軸として、多元的な資源を混成させつつ多層的に構成される。この第三の「相互性」の領域を体系的に顕在化させる仕組みとして、SELやRERSのような地域交換アソシアシオンを位置づけることができるだろう。そしてこのように、交換を通じて社会的連帯を形成するアソシアシオンとしてSELやRERSを理解することによって、ここ数年国内において急速に拡大している地域通貨の社会的意義を考える際に示唆を与えることができると考えられる。
- 関西社会学会の論文
- 2003-05-24
著者
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