「在日外国人問題」の変容 : 「統合パラダイム」と「トランスナショナル・パラダイム」に着目して(<特集II>エスニシティの社会学1992-2002 : 明日への課題)
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概要
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この数十年に及ぶ日本の「外国人問題」の変容は、「国際化」から「グローバル化」への動きであり、また「国際化」についていえば、いわば友好としての「国際化I」から「内なる国際化」を意味する「国際化II」への動きであった。日本の外国人も、在日韓国・朝鮮人や在日中国人に代表される「オールドカマー」から各種の「ニューカマー」へと多様化した。そこでの第一の着眼点は、外国人というと「3K労働」も厭わない労働者というイメージが強いが、外国人労働者就労は単純労働の分野に限られず、日本企業の多国籍化や国際進出に伴う部著にも広がっている。また、卒業後に日本企業に就職する留学生も増加した。彼らのなかには新中間層に属する人も多く、従来の外国人労働者のイメージでは捉えきれない。第二に、これまでの「オールドカマー」に見られるように、日本社会への定住化がほぼ前提とされ、その上で同化や帰化の是非、あるいは民族文化を保持したままでの定性化の是非が議論されてきたが、南米社会と日本を行き来する南米日系人リピーターに代表されるようなトランスナショナルな存在が目立ってきた。こうした二つの多様化は世界各国で見られる現象であり、このような現実の変化に対応して、分析上のパラダイムの方も、当該社会への同化や統合の是非を問題とする「統合パラダイム」に加えて、国境を越えた複数の社会関係のなかで生きる人々を捉える「トランスナショナル・パラダイム」を併用することが必要となってきている。
- 2003-05-24