訪問介護サービス利用者満足度の「援助関係-援助内容モデル」による分析 : ハイダーのバランス理論の応用によって
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
訪問介護は,きわめて個別性の高い援助関係および援助内容によって成立するものである.その性格から,訪問介護における満足度調査は,利用者の主観的な傾向が大きく反映されるという指摘がある.そこで,本稿では利用者とホームヘルパー両者の援助関係・援助内容に対する評価が,どのように利用者満足度に影響を与えているかを分析する手がかりとして,バランス理論に基づいて,「援助関係-援助内容モデル」として分析枠組みを作成し,ホームヘルプサービス利用者とホームヘルパーの組合せによるアンケート調査を行った.結果は,総合利用者満足度で「たいへん満足している」と回答した46人(46.6%)の利用者のうち,正のバランス状況『相思相愛型』にあるケースは33ケース(33.7%)と低い値を示した.総合利用者満足度で「たいへん満足している」と答えたケースのうち,12ケースは5つのアンバランスなモデルに分散していた.また,負のバランスである『絶体絶命型』9ケース中6ケースが「満足している」という結果であった.分析の結果,「援助関係-援助内容モデル」は改善すべき視点を明確にするための示唆を得ることに役立つことがわかった.しかし,必ずしもモデルの類型と満足度が正比例しないケースもあり,それらの分析が今後の課題として残された.
- 日本介護福祉学会の論文
- 2006-10-01