わが国の介護福祉士制度の一源流 : 兵庫県における福祉介護士認定制度(1986年)の歴史的意義の考察
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概要
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本稿は,わが国の介護福祉士制度の原初形態を明らかにする研究の一環として,福祉介護士認定制度(1986年)を取り上げ,同制度の研究過程やその当時の社会的背景を整理しながら,同制度が介護福祉士制度にいかにして結びついていったのかを解明した.その結果,延べ10回(全体研究会4回,小委員会6回)にわたる同制度研究会の研究成果が『福祉介護士認定制度研究会報告書』(1986年)というかたちで緻密に考案され,その完成度がきわめて高かったからこそ,当時のシルバーサービス振興室長と県民生部高年福祉課長との協力や,県民生部長の行動力,さらに同制度研究会委員長の機転等によって,厚生省の若干の手直しののちに,法案というかたちで第108回通常国会に取り上げられ,短期間の審議ののちに,法成立に至ったのである.このように,同制度研究会の研究成果は,福祉士制度の原案の一側面を形成したのみならず,国と地方の厚生行政の見事なタイアップを生み,その後に続く各種福祉制度の実質的な出発点となったところに歴史的意義がある.
- 日本介護福祉学会の論文
- 2007-10-01