人類学と社会学の未来に向けてのメモランダム(<特集I>Teaching Sociology -イメージとしての社会学-)
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概要
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最近の人類学と社会学では、研究対象と方法がともに接近し合い、学問固有の概念やモデルの差異を超えて、共通の準拠枠を求める動きが生まれている。それがどのような準拠枠であれ、両学問のフィールドワークにはアブダクティブな推論が不可欠であり、今後はアブダクションにふさわしい言説がさらに求められることだろう。チャールズ・パースが指摘するように、アブダクションは「ある状態である種の現象が現れるのを推測するという、われわれの希望に依拠し」ている。確かにアブダクティブな,議論は、過去-現在についての既存の認識を脱却し、未来に向けたあらたな社会のィメージを希望として掴もうとするのだが、人類学と社会学はこれまで「希望」についての考察をほとんど試みることがなかった。本稿はエルンスト・ブロッホの議論を参照しながら、「希望」の考察が人類学と社会学の社会的有用性に関する知見を開く可能性について、フリーターの事例をつうじて示唆する。
- 2005-05-28
著者
関連論文
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