介護保険制度における市町村の役割 : 準市場との対比を通して
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概要
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介護保険制度は市町村を保険者としてスタートし,社会福祉制度における規制緩和と市場化への道を開いた.社会福祉行政は民間セクターに市場を開放し,サービス供給を倍増させた点は所期の目的を達成したといえる.ただし,赤字を抱える保険者は増加しており,その財政状況は深刻である.介護福祉では,外部性,不完全な情報,非合理性を考慮してサービスが供給されなければならない.そのため市場による資源配分には制約があり,行政がイニシアティブをとって市場を調整することが求められる.この点について,準市場を導入しているイギリスでは,コミッショニングという地方自治体が包括的に管理する機能をもっており,介護保険制度よりもはるかに強い規制権限を有している.今後介護保険制度を持続可能なものにするためには,利用者のみならず利害関係者すべてを含めた「行政-事業者間の協定」をつくりあげる必要がある.本稿では,準市場と介護保険制度との比較を通して市町村の役割を考察した.
- 2005-10-01
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