末期癌患者への在宅生活支援における課題と方法 : ホームヘルプ活動の事例研究を通して
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概要
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だれもが最期まで自分らしく生活できることを保証する社会的介護サービスを確立するためには,事例研究を行い,現在の状況を確認し,潜在する課題を分析し,的確なサービスの提供を目標にした個別的な援助実践方法論を構築していくことが重要であると思われる.そこで本稿においては,在宅生活を希望した末期癌患者1事例の在宅ターミナルケアに対する支援を,ホームヘルパーの視点で記録,観察,分析し,在宅ターミナルにおける課題について考察した.本事例の検討により,在宅ターミナルケアにおける課題として,各在宅サービスの充実と支援関係者間の連携が急務であることを認識することができた.とくに医療の緊急対応体制の末整備が問題点として示唆された.訪問看護ステーションの柔軟な対応体制の整備,地域開業医の協力の強化,往診医と専門医の連携システムなど,緊急時の医療バックアップ体制の確立が望まれる.また,ホームヘルパーの疼痛緩和等の医療行為へのかかわり方等にも問題が感じられた.専門職間の役割の明確化を行い,タイムリーな他職種間連携を支援システムとして確立することにより,サービスを的確に提供していくことが可能になると考えられる.さらに,ホームヘルパーは「死」に直面することへの不安をもっており,ホームヘルパーのターミナルケアにおける介護技術のひとつとしての精神的援助技術の習得,ならびに死を看取る経験,看取りの知識の必要性も確認された.
- 日本介護福祉学会の論文
- 1999-10-01
著者
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- ケアの社会倫理学-医療・看護・介護・教育をつなぐ, 川本隆史編, 有斐閣, 四六判, 382頁, 2,100円, 2005年
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