検診と生活習慣病(シンポジウム「生活習慣病とライフスタイル」,第15回日本健康医学会)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
生活習慣病の多くを占める脳血管障害や心血管病は,働き盛りに突然発症すると社会的にも個人的にも極めて損失が大きいため,労働者の健康管理において重要な疾患である。我々は職場の健康診断を通して主に中年層を対象とした人口層における生活習慣病の実態を知るとともに,職場における生活習慣病対策のために,動脈硬化性心血管病に関連する因子の実態について検討した。35歳以上の筑波大学職員を対象に行われた,平成17年度の一般定期健康診断の結果を基に解析した。検査項目は,既往歴,喫煙歴,飲酒歴,現症の調査,BMI,血圧,血清脂質検査,血糖及びHbA1C検査等である。生活習慣については,喫煙歴,飲酒歴ともに男性が女性に比べ有意に高値であった。検査値異常者の割合もBMI,血圧,脂質検査,糖代謝検査もともに男性の方が有意に高値であり,男性職員に対する対応が必要と考えられた。今回の検査項目で有所見の多かったは総コレステロール,血圧,BMI,中性脂肪の順であった。一方,何らかの治療歴のある者は血圧や糖代謝に比べ脂質代謝異常者で比較的少なく,今後脂質代謝異常者に対して栄養指導や運動指導も含めた介入が必要と思われる。今後,健康診断への声掛けや呼び出しをさらに徹底するとともに,正しい疾病認識を持たせ,健康意識を啓発するような情報提供や運動療法の導人等による,より魅力的な保健指導が必要と思われる。
- 日本健康医学会の論文
- 2006-07-28