「伝統」をつなぐこと : 等覚寺の松会(まつえ)の伝承についての一考察
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概要
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本稿では、一九九八年に重要無形民俗文化財の指定を受けた等覚寺の松会を取り上げる。その中で、まず、等覚寺地区に残る史料、さらにはフィールドワークによって明らかになった近世から現在にかけての変化を提示する。ここで提示された変化を見ていくと、一見、過去の松会と現在の松会が、全く別物であるかのように見えてくる。こうした変化は、近年の、そのままの形にての保存を試みるとされてきた文化財保護の中にも見ることができた。先行研究の中で松会の本来の姿とされたかつての英彦山の松会に、変化することでより近づいたのだ。本稿では、国の重要無形文化財指定前後を含む戦後の変化に焦点を当て、伝承における変化のメカニズムを考察する。そこでの変化は、担い手たちの中で全く新たな変化とされるのではなく、「復興」であると認識されてきていた。
- 2012-12-30