我が国の国立公園における保護のための施設に係る公園事業の決定等の推移
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概要
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本報告では我が国の国立公園における保護施設に係る公園事業の決定等の状況について検討した。平成に入ってから,国立公園行政においても生物多様性保全の重要性が高まり,保護施設事業における事業種の創設や拡充が行われていた。その結果,近年,それまで公園事業の大部分を占めていた利用施設事業が減少する一方で,大規模な保護施設事業の占める割合が相対的に増加していた。生物多様性保全の重視に対応し拡充した保護施設事業の具体的中身をみると,相対的に消極的な施策といえる動物繁殖施設よりも,積極的な施策といえる自然再生施設事業や植生復元施設事業の拡大が顕著であった。以上を踏まえると,近年,田村の考え方に基づく公園事業の「利用」思想が,保護施設事業に,より「利用」に近い性格を持たせていくことで現れていると捉えることができた。
- 2012-11-01