痕跡から見える社会情報学(<特集>社会情報学からの発信(2))
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概要
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かつて何かが存在したこと,あるいは,かつて何かが起こったことを示す痕跡は,情報として利用できるのではないか。痕跡を記号として読み取るまえに,痕跡がつくられてきた経過を辿ることで,より一層の意味を痕跡から読み取ることができるはずである。静的な痕跡をイキイキとした動的な風景の中で観ることができれば,痕跡を単なるインデックスとしてだけではなく,われわれの動作や仕草を誘導してくれたり,快適にしてくれたり,あるいは躊躇させたりするモノとして活用できるかもしれない。社会情報学という大枠では見過ごされやすいが,痕跡を,利用しやすい情報として緻密に外環境にデザインし,用意したなら,その世界はささやかではあるが住みやすいものになりはしないだろうか。また痕跡が繰り返し行われた行為の跡であることは貴重な情報となる。痕跡の意義とその利用方法を簡単な例示によって説明する。痕跡から見える社会情報学という論題でそんな期待を込めてみた。
- 2012-12-31