「チーム医療」専門技能の階層 : 組織横断チームとしてのヨコ関係(自由論題)
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概要
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日本の病院組織は官僚制組織の形態を成し、専門分化された部門別のタテ割組織が多い。そのため形式的に「チーム医療」を実践している。医師法第17条に基づく医師の権限と義務に伴う医師-コメディカルの従属関係が時に、チームの機能を妨げる。その例として、1999年「横浜市立大学医学部附属病院患者取り違え事故」の事例研究から、医療従事者間の相互作用の欠落、チームメンバーの階層が医療事故に至ったと認識する。そこで、職種による階層意識の排除は可能かを主題に、形式的な「チーム医療」ではなく、機能する「チーム医療」の理論構築について論じる。ここでの「チーム医療」の概念を、「専門性とスキルで自律したチームメンバー間の協働」とし、チームメンバーは対等であるという捉えである。2000年12月医師法・医療法改正で、医療現場の状況は大きく変化する。そして、厚生労働省は2009年8月「チーム医療の推進に関する検討会」の取り組みを始める。背景には、医療の高度化と2008年日本人平均寿命男性79,24歳、女性86,05歳という超高齢化がある。医療の質向上と効率性を目的とした「チーム医療」の改善が必要とされた。従来の医師-看護師などコメディカルの関係性にも変化が求められる。医療従事者は「チーム医療」の必要性を主張しており、推進のためにはこれまで負の部分であるヒエラルヒーの問題を一歩進んで議論するべきと考える。そこで、機能的チームの条件構築にFollettの権限機能説の理論を借り、職位による階層を否定する、機能の分担関係という視点で検討する。
- 2012-11-03