キヤノン電子経営者・酒巻久氏に与えたドラッカーの影響に関する研究(自由論題)
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概要
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本稿では、日本の経営者がドラッカーの経営思想や理論のどの部分に共感し、影響を受けたのかについての解明を目指すものである。日本では、ドラッカーに関して研究が活発であり、幅広い研究がなされている。しかし、その殆どがドラッカーの経営論そのものに関する研究であり、日本の経営者がドラッカーの経営思想から受けた影響を解明する研究はほとんどない。そこで、本研究では、ドラッカー経営論が日本の経営者に与えた影響を考察することによって、理論と実践の統合を図っていくことに資するようにする。ドラッカーに影響を受けた日本の経営者は多く存在している。とりわけ、キヤノン電子の酒巻久社長はその一人である。ところで、ドラッカーは、経営体全体の問題を取り上げるものとして、経営体の存続目標を八つ提示していた。すなわち、(一)マーケティング、(二)革新、(三)人間組織、(四)財務資源、(五)物的資源、(六)生産性、(七)社会的責任、(八)利益という必要条件、の八つである。そこで、本稿は、酒巻氏の著書『ドラッカーの教えどおり、経営してきました』を中心にして、ドラッカーが提示した経営体の存続目標に照らし合わせながら、酒巻氏がドラッカーの経営思想から受けた影響(以下の(1)〜(3))を明らかにすることにする。
- 2012-11-03