不妊治療後に出生した極低出生体重児の長期予後-社会的要因との関連を加えて
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概要
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1996年3月〜2005年12月までの院内・院外出生児13142名中、極低出生体重児は464名で、そのうち不妊治療後に出生した73名(不妊群)の長期予後について非不妊治療後出生児384名(非不妊群)と比較した。不妊治療法はIVF-ETが32例(43.8%)と最多であった。背景として多胎(2胎・3胎・4胎)および初産の割合は不妊群で有意に高かったが、単胎、母体搬送、呼吸窮迫症候群の割合は非不妊群の方で有意に高かった。また両親の教育年数が12年以上の割合、ならびに世帯年収が500万円以上の割合については両群間で差は認めなかった。6歳までの死亡例数の割合は不妊群5例(6.8%)、非不妊群36例(9.4%)であった。長期予後評価項目として脳性マヒ・視覚障害・聴覚障害・精神遅滞・発達障害について6歳以降で評価したが、後障害例数の割合は不妊群15例(28.8%)、非不妊群62例(28.3%)と両群間で差が無く、後障害の内容によっても明らかな差は認めなかった。不妊治療自体が明らかな予後増悪因子であるとは言えないが、症例登録制などフォローアップ体制を整備し、より精度の高いデータを蓄積する必要がある。
- 2013-01-31
著者
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