3個の選択肢から1個を選ぶことの意味 : 単数選択法の結果と評価の相関および散布度
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概要
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本稿は,第2種測定法としての単数選択法の問題点を,評価の相関および散布度という概念を用いて,主にコンピュータでの数値実験により明らかにした。まず,社会的選択理論に基づく投票研究の分野で指摘されてきた単数選択法の問題点を,評価の相関および散布度という概念で再解釈した。そして,3個の事物から1個を選ぶ場合を検討した結果,評価の平均などの他の条件を一定とすると,3個のうち2個の評価間の相関係数が大きくなると残り1個の選択割合が上昇すること(相関命題),また3個のうち1個の評価の標準偏差が大きくなると,その1個の選択割合が上昇すること(散布度命題)が明らかになった。また,これら個々の効果はさほど深刻なものとは言えないが,いくつかの効果が複合的に生じると,選択割合に大きく影響することが明らかにされた。最後に,調査方法論に対する以上の結果の含意が論じられた。
- 佛教大学の論文
- 2011-09-01
著者
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