鉄鋼業における雇用構成の実態と規定要因
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概要
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本稿の目的は,鉄鋼業の生産職場の雇用構成とそれを規定する要因を明らかにすることである。雇用構成は企業によって異なる特徴を示す。大手高炉企業では少数の本工と多数の社外工で構成され,中小鉄鋼企業では大手と比較して社外工比率が低く,派遣労働者を配置する企業もある。また社外工の領域においては,臨時工や派遣労働者や2次下請工といった多様な形態の労働者が存在する社外企業もある。これら雇用構成を規定する要因には,生産量と人員数の相関,作業熟練度,生産の統合構造,生産規模,外注管理,労働組合の関与度がある。生産量と人員数の相関度の低さと高熟練作業は,直営部門にて本工を求める要因となる。複雑な統合構造と生産規模の大きさは社外工比率を高める要因となる。外注管理方針は社外企業の雇用構成に影響を及ぼし,競争面が強くなると社外企業の雇用構成は多様化する。労働組合の積極的な関与は社外工拡大を遅らせてきた。
- 2010-02-25