居住貧困と居住福祉政策(<特集>ワーキングプア-労働・生活・運動 社会政策学会第117回大会共通論題)
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概要
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日本は世界有数の経済大国で,世界最高水準の住宅建設戸数を誇りながら,多くの野宿者を抱える。1990年以降,居住貧困は,「ホームレス」「インターネットカフェ難民」「派遣切り」と次々と新たな形を見せながら広がっている。経済成長を支えていた「年功序列賃金・終身雇用」「土地・住宅の価格の高騰」が終焉し,住宅取得・居住水準向上を果たす「住宅すごろく」が機能しなくなった。「企業福祉」「相互扶助」「社会保障」の弱まりは,人々を「住宅すごろく」に上げることすら困難にした。不安定で低い賃金,低家賃住宅の払底,保証人制度は,住居を失った人々が再び安定した住居を獲得させることを困難にさせる。これまでの住宅市場を前提とした住宅政策ではなく,不安定就労,就労困難生活支援の必要性のある世帯階層を前提とした,適切な居住を保障する居住福祉政策の展開が必要である。
- 2010-02-25