イギリスにおける地域再生政策の課題と可能性に関する一試論 : 代表制と「パートナーシップ」の緊張関係を中心に
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概要
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現在,イギリス労働党政府がイングランド地域において実施している地域再生政策の特徴は,公共セクターや民間セクター,ボランタリーセクターが参画する「パートナーシップ」組織が中心となり,地域の公共サービスの供給や実施に関する意思決定を行っている点である。本論は,このパートナーシップ組織による制度的ガバナンスに焦点を当てて論じたものである。とくに,「地域戦略パートナーシップ(LSP)」を中心に取り上げている。また,社会的排除対策の点からもこの形態のガバナンスの重要性を論じている。しかし,このガバナンスの形態では,代表制民主主義と抵触しかねないとの批判がある。とりわけ,議会を迂回して利害関係者によって政策を決定するプロセスから,コーポラティズムとの類似が指摘されている。本論は,こういった課題に政府がいかに対応しているのか,また従来のコーポラティズムとは何が異なっているのかを明らかにしたものである。
- 2009-04-25