日中戦争期における中国人協力者(Chinese Collaborators) : 研究視点の省察(<特集>ゆらぐ<境界>-戦時期東アジアにおけるコロニアリズム再考)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿は,日中戦争期の中国における対日協力者に関する西洋側の研究視点を検討した上で,今後の協力者研究が志向すべき方向を次のように提示した。第一に,「愛国」対「反逆」という,二分法的な思考(dichotomy)を止揚し,協力(者)の動機と行為におけるアンビバレンスに着目する。第二に,抗戦派(resistants)の最終的な勝利を前提に,協力派(collaborators)を裁断してきた目的論的アプローチを止揚する。第三に,道徳論的ドグマを超え,特定の道徳的判断がなされた理由と歴史的文脈を重視する。第四に,民族主義的解釈から抜け出し,協力行為が行われた当時の具体的な文脈を復元する。
- 2012-11-25