社会情報学と交通(<特集>社会情報学からの発信)
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概要
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元来,交通は派生需要であり,私たちが様々な社会活動をする際発生する。この社会活動,たとえば政治,経済,生活のような活動を確実に,効率的に実行し,最大の効果を得るために,私たちは有益な情報を求めて動く。古来より情報伝達はFace to Faceが基本であり,時の政府は中央と地方との情報伝達を円滑に,確実に行うため,中央と地方を結ぶ街道の整備に力をいれ,中央から地方に向かう使者に便宜を図ってきた。このように情報は交通に伴って伝達されてきた。そして,昨今のICTの目覚しい進展が交通に大きく影響を及ぼしてきた。本論では,主に情報と交通行動に着目して,情報と交通の代替性と補完性について考察する。代替性についてはテレビ電話会議システムの活用やテレワークを事例として交通削減による便益,ライフスタイルの変化について考察した。補完性については情報が引き起こす誘発交通,さらに,過疎地における高齢者の交通権確保を目指してICTの有用性を考察した。一方,人口の都市集中,経済の減速,少子高齢社会,地球環境など深刻な問題が山積みである。また,私たちがまだ知らない新たな問題も生じてくるであろう。こういった中ICTはますます重要な役割が求められている。
- 2012-09-10