ハイデガーの共同存在論
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概要
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従来、ハイデガーに対して他者論の不徹底が指摘されてきた。たしかにハイデガーは他者を主題としているわけではない。だが、彼は他者の問題を決して看過していない。現存在が他者との共同存在である以上、ハイデガーは現存在の存在を問うとき、他者の存在もつねに問うている。本稿ではこうした観点に立って、ハイデガーが他者をどのように捉えているのかを論じた。まず、ハイデガーは他者を世界のほうから了解されると捉えている点に着目した。現存在の世界は共同世界であり、世界を分析することのうちには他者もすでに含まれている。次に、彼は他者を私と同じ世界に現れるとみなしていることを取り上げた。同じ世界に現れるがゆえに、現存在は相互に関わり合うことができる。現存在は根源的に相互共同存在である。最後に、本来的な自己と他者との関係について論じ、本来的な自己は他者とのあいだに本来的な関係を築くためにも必要であることを指摘した。
- 奈良県立医科大学の論文
- 2008-03-15
著者
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