環境指標としてのサンゴ骨格中の微量元素とその変動メカニズムの解明に向けて(地球環境変動と造礁サンゴ II,「海の研究」特集号)
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概要
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近年,人為起源の大気中二酸化炭素濃度の増加に伴う地球温暖化や海洋酸性化の問題が懸念されているが,近い将来地球環境がどのように変化するのか,その近未来予測を定量的に行うためには,過去から現在に至る環境変動とそのプロセスを詳細に知る必要がある。炭酸塩生物殻はそのツールとして古気候・古海洋学の分野で威力を発揮しているが,有孔虫や円石藻などと同様に造礁サンゴも広く用いられており,熱帯から亜熱帯域の海洋環境を月単位の高時間分解能で復元できるという特徴を持っている。本報ではサンゴ骨格中の微量元素に注目し,化石サンゴを用いた鮮新世から歴史時代までの環境復元,現生サンゴを用いた月単位での近過去の環境復元,そして週から日単位の微小スケールでの微量元素変動,と時空間スケールに沿ってこれまでの研究をまとめつつ,問題点を整理していきたい。さらにサンゴの石灰化メカニズムの視点も踏まえながら,今後の研究の展望についても述べたい。
- 2012-09-15
著者
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