かぐや衛星で観測した波動スペクトルにおける機器干渉ノイズ低減に関する研究(計測,探査)
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概要
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月探査衛星「かぐや」に搭載された波形捕そく器(WFC)は,月周辺の低周波の自然波動の観測を目的として,2007年9月から約1年半にわたって継続的に1kHzから1MHzの電界スペクトルのデータを取得し続けた.このデータには,観測対象とした自然波動のデータのほか,オンボードにおける機器干渉ノイズが含まれている.本論文では,この機器干渉ノイズの低減のために開発した手法について述べる.干渉ノイズは,原因となる機器のステータスに応じて変化パターンをもつことから,各干渉ノイズに対して,オンボード機器の全てのステータスとの時系列変化の類似度を調べることにより,原因となる機器及びステータスを特定した.更に,特定されたステータスに対する波動強度の確率密度分布の違いを利用して,効果的なノイズ低減手法について検討した.開発したノイズ低減手法は,現在,世界中の科学者に公開されているかぐやWFCの観測データの利用価値を高めるだけでなく,今後の科学衛星による波動観測データへの応用が可能である.
- 2012-11-01