原爆放射線のヒト免疫応答に及ぼす影響.第26報:末梢血リンパ球におけるTh1およびTh2細胞の割合の被ばく線量依存性増加
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概要
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原爆被爆者において放射線被ばくが関係したと考えられるT細胞免疫の変化が観察されている<1).その主なものは,T細胞の試験管内機能の低下2,3),ナイーブT細胞の減少4),T細胞受容体レパトアの減少5),機能的に不活性あるいは劣っているメモリーCD4 T細胞の増加6),および制御性T細胞<Wa>(regulatory T cells; Treg)の増加1)である.T細胞免疫に及ぼすこれらの放射線の影響はすべて加齢の免疫系への影響と類似していることから,放射線被ばくによってT細胞系の免疫老化が促進された可能性が示唆される1). CD4 T細胞集団には,サイトカイン産生のプロフィールが異なるTh1(T-helper type-1)とTh2(T-helper type-2)が存在し,Th1とTh2の比率(Th1/Th2比)の異常が,がん,自己免疫疾患,感染症,アレルギー性疾患など免疫系が関連する様々な疾患の発生に関係していることが知られている.また,老化によりTh1/Th2比の異常,とくにTh2優位の免疫応答が誘導される可能性が示唆されている7).今回,Th1およびTh2細胞に及ぼす年齢,性差,ならびに放射線量の影響を検討する目的で,末梢血リンパ球をフローサイトメトリーにて測定した.
- 2012-09-25
著者
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