平成23年度における被爆者大腸癌-広島原爆健康管理・増進センターにおける症例-
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概要
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近年,大腸癌は増加している.2005年の患者数は104,734人であり,全癌患者数の中で胃癌についで2番目に多く,死亡数は42,800人(2009年)と全癌死亡数の中で肺癌,胃癌についで3番目に多くなっている1).被爆者も例外でなく,高齢化に伴い,その罹患数は増加していると推測される.これら大腸癌の早期発見や予防には便潜血検査によるスクリーニングと全大腸内視鏡検査(Total Colonoscopy: TCS)を組み合わせた検査・処置(予防的ポリープ切除を含む)を積極的に行っていかなければならない. 当施設においても平成3年度から便潜血検査を1次検査とする大腸癌検診が開始され,平成13年度から16年度までの成績についてはすでに報告した2).今回,我々は平成23年度における当施設の1次検診,2次検診(TCS)の結果を中心に報告する.<対 象 と 方 法> 平成23年度の被爆者および非被爆者の便潜血(Immunochemical fecal occult blood test <Wa>2日法,以下IFOBT 2日法)による大腸癌検診の対象者および精査のため2次検診としてTCSを受診された対象者は表1のごとくである.被爆者は戦後66年を経過し,高齢化が進み,年齢中央値ではIFOBT 2日法受診者で非被爆者に比較して12歳高く,また,いずれの集団も女性の受診者数が多かった.IFOBT 2日法陽性者(1回でも便潜血が+であった人)はTCSを勧めており,当施設でのTCS受診者は被爆者91人,非被爆者150人であった.内視鏡受診者は被爆者,非被爆者ともに男性の方が多い. 集計や統計処理は「R」3)を用い,2項分布の95%信頼限界,Fisher's Exact Methodおよび一般化線形モデル(Logisticモデル)を用い,p\<0<Oh>.05を有意と判断した.
- 2012-09-25