Vocabulary Knowledge and Depth of Reading Comprehension
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概要
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語彙知識と読解能力の関係は多くの先行研究で調査されており多くのことが明らかになっている。しかし、語彙知識が細かく分類されている一方で、読解能力は読解テストの総得点が主要な指標として用いられてきたために、明らかになっていない部分も多い。読解能力の測定は様々な目的・方法で成されるが、本稿では読解の深さについて質問タイプの観点を中心に紹介する。Shimizu(2005, 2006)は、読解問題を質問タイプによって分類し、読みの深さと難易度の関係を調査しているが、分類として(a) パラフレーズ質問、(b) 推論質問、(c) テーマ質問、(d) 指示質問、(e) 語彙質問、(f) 文章構造質問を挙げている。これら6つの分類は読解処理の深さによって2つのレベルに分けられるという。lower-level processing とhigher-level processingがあり、前者は、より低い(浅い)レベル、後者は、より高い(深い)レベルの処理と言える (cf. Grabe &Stoller, 2002)。higher-level processingは推論質問、テーマ質問、文章構造質問を含み、他方、lower-level processingはそれ以外の質問タイプに関わる。この質問タイプの観点から、Shimizuは英検、センター試験、TOEFLの3つの主要なテストの読解問題を質問タイプ別に分類し難易度を比較している。そして、higher-level processingを必要とする質問はlower-level processingを求める質問よりも難しいと結論づけた。語彙知識と読解能力の関係性を明らかにするには、このような読解の深さの側面を考慮した研究が必要とされる。
- 2011-12-01