計画経済期中国における食糧配給制度の展開過程
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概要
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本稿は,工業建設の円滑化を目的として導入された食糧配給制度が,大躍進政策後の食糧危機を転機に工業建設を抑制するものへと変化した経緯を明らかにする。これを通じて,計画経済期の工業建設が,商品化食糧の不足により制約された局面を浮き彫りにする。1950年代,都市で導入された配給制度は,工業化の担い手たる非農業人口のみを対象に効率的な食糧分配を試みた。配給制度の目的は都市向け食糧供給の削減だったが,非農業人口それ自体を制限しなかった。50年代を通じて工業化が積極的に推進された結果,非農業人口は商品化食糧の供給能力を超えて増加の一途を辿った。60年代初頭の食糧危機発生以後,配給制度は戸籍制度と一体化して非農業人口の削減に取り組み,工業化の後退をもたらした。同時に,農業部門が提供可能な商品化食糧の規模に合わせ,非農業人口と工業化の規模を決定する方針が,政策当局にようて強く意識されるようになった。70年代,非農業人口向け食糧供給量は商品化食糧の規模と連動して推移するようになったが,これは当該期の工業化が商品化食糧の規模によって抑制されたことを意味した。
- 2009-11-25
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