日本における半導体技術の発展とその背景 : 共同研究活動の視点から
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概要
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この論文は,日本の半導体技術を事例に,研究者・技術者の共同研究活動やコミュニティの形成が,技術の発展に及ぼした影響を検証したものである。従来の半導体技術の歴史について書かれた文献には,大きく分けて,2つの問題点がある。第1に,個々の研究者,技術者の努力に注目するあまり,研究者・技術者間の関係性とその背景についての考察がかけていること。第2に,戦後のトランジスタ登場以降の歴史にのみ注目し,戦前・戦中の半導体物性研究からの連続性を無視していることである。半導体分野の産官学の研究者,技術者が,ときに競争し,ときに協調する,そうした行動をとった背景には,戦前,戦中から戦後にかけて,物性物理,固体電子工学の厚い研究者層が形成され,活発な共同研究が行われてきたこと,学会が組織・整備され,個別研究や共同研究を支えるさまざまな国の研究支援制度が整備されてきたことなどがあった。そのため,半導体の分野でコミュニティと呼べるようなものが形成され,産官学で困難な問題に立ち向かう体制ができていたことが,戦後の半導体技術発展の背景にあったと結論する。
- 社会経済史学会の論文
- 2009-03-25
著者
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