パリ機械工業の再活性化とその限界、1939〜1958年
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概要
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パリ地域の機械工業はもともと,首都に集中する様々な産業の需要に応えるため,多様な製品と柔軟な生産構造を発達させていたが,第一次大戦期に軍需生産に傾斜し,その後永く生産転換に苦しんだ。1935年前後からの再軍備進行で息を吹き返し,独軍占領期・戦後混乱期のスローダウンを挟んで,1950年代初頭をピークとする好況を享受した。とくに戦後は,西側世界全体への生産財供給の一翼を担いながらも,耐久消費財需要の急増という事態を受け,次の時代に向かっての模索を続けた時期に当たる。自動車や電気機械などの量産工場が郊外で本格的に稼働するのは1960年代以降であり,それ以前は市内東部を中心に立地する中小零細工場が生産に大きな役割を果たしていた。それらは漸進的な技術革新と工場毎の専門性の追求,密接な情報交換等によって高い生産性を実現し,欧州域内分業の展開に一役買うべく構造改善を進めつつあったのである。本稿では分野ごとに主要企業の動向を把握した上で,再軍備期に軍需生産遂行の過程で稠密さを増した下請ネットワークが戦後の成長をどのような形で担ったかを,同時代の調査等から明らかにする。
- 社会経済史学会の論文
- 2009-01-25
著者
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