1932年ウィスコンシン州失業補償法とニューディール : 「ウィスコンシン派」の思想とラフォレット知事による州政治を中心に
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概要
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本稿は1932年1月にウィスコンシン州で成立した失業補償法の制定過程を法案の作成から州議会における審議までを追うことによって,アメリカにおける失業保険制度の歴史的起源を探ることを目的としている。同法は全米初の失業補償制度を確立した画期的な労働立法として一般的に高く評価されている。しかし本稿では州政府や企業の裁量性を大きく認めた連邦失業保険制度の限界がウィスコンシン州失業補償法のあり方に由来するのではないかという観点から,同法の背後にある思想を明らかにするとともに,それがいかなる政治状況の下で生み出されたのかを考察する。なかでも同州での立法に際し中心的な役割を果たし,のちにフランクリン・ D ・ローズヴェルト政権下で社会保障法の制定に尽力した「ウィスコンシン派」と呼ばれる人々の思想とそれに対抗する諸勢力との関係,立法に反対し自主プランの普及を求めた実業界の動き,大恐慌の下でのフィリップ・ラフォレット知事の政策運営,州議会での共和党革新派と正統派の投票行動などに着目することによって,同法の内実を明らかにする。
- 2008-03-25
著者
関連論文
- 楠井敏朗著, 『アメリカ資本主義とニューディール』, 日本経済評論社, 2005年8月, 352頁, 3,990円
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- 久保文明・有賀夏紀編, 『個人と国家のあいだ』, ミネルヴァ書房, 2007年6月, xvi+305+5頁, 3,675円