京都府における林業財政の推移とその背景
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概要
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地方財政が厳しくなる中で,林業への効果的な投資と事業の実施が求められている。本論文では,京都府を事例に林業費と事業の推移をたどり,造林費と林道費をピックアップして事業量との関係を分析し,変化の背景と要因を明らかにする。林業費の総計と林業のGDPを比べると,1980年代前半には後者を下回って減少し,財政支出が林業・林産業に効果を及ぼさなかったことが示唆された。造林事業のうち,人工造林は1980年代前半,除間伐などの保育管理も1990年前後をピークに減少しつつある。拡大・再造林費と保育費に分けて指数を算出すると,後者が造林費の規模を支えてきた。林道事業は,1990年代中盤から後半に一時的に拡大したが,2000年以降は予算ともに減少し続けている。林道開設単価は1992年以降がそれ以前より有意に高く,高規格の丹波広域林道が林道費の落ち込みを抑えた。林業費の財源は,1990年以降に国庫補助金と一般財源に代わって府債とその他の比率が高まり,予算規模の確保が難しくなっている。地域経済への波及効果を算定した上で,振興策としての位置づけを明確にする必要がある。
- 2008-10-27