異なる林齢の落葉広葉樹林における林床低木クロモジ(Lindera umbellata)の個体群構造
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概要
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異なる林齢をもつ落葉広葉樹2林分(15年生林,60年生林)において林床に生育するクロモジ(Lindera umbellata)の個体群構造が調査された。低木層における相対照度は60年生林(15.2%)の方が15年生林(27.7%)より低かった。同様に,クロモジの株個体群の地際断面積合計においても60年生林(3.04m^2ha^<-1>)の方が15年生林(4.90m^2ha^<-1>)より小さかった。このことは林分の発達に伴う林床の光環境の悪化がクロモジ個体群の現存量を減少させることを示唆していた。株と地上茎の個体群構造の比較から両林分における地上茎個体群は主に萌芽によって維持されていることが示唆された。15年生林分では中型サイズの株の頻度が60年生林分に比べ高く,このことは過去に集中的に株が加入した時期があったことを示唆していた。皆伐後の二次遷移初期段階においては実生更新が個体群の形成に重要な役割を果たした可能性がある。
- 応用森林学会の論文
- 2003-03-28