ナラ類の集団枯損被害の枯死木を用いたシイタケ栽培
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概要
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ナラ類の集団枯損被害の枯死木からは,特定の未同定菌(ナラ菌と仮称)が検出されており,枯死の原因の可能性が指摘されている。枯死木の有効利用を図るため,ナラ菌の存在下でのシイタケ菌の挙動を調査するとともに,枯死木を用いたシイタケ栽培を試みた。試験管にミズナラの木粉を主とした培地をつめ,ナラ菌をまん延させた後,シイタケ菌を植菌したところ,菌糸の伸長速度は対照の約半分以下であったが,ナラ菌が生存するにも関わらず,シイタケ菌は培地全体にまん延した。次に,ミズナラの枯死木と健全木の木粉を用いて,シイタケの菌床栽培を行った。発生した子実体の個数,重量について枯死木と健全木の間に差は認められなかった。さらに,ミズナラの枯死木と健全木の原木にシイタケ菌(種駒)を植菌し,菌糸の伸長状況を比較した。その結果,シイタケ菌は枯死木中でも生長することができ,菌糸の伸長速度は枯死木の方が健全木よりもはるかに速かった。以上から,ナラ類の集団枯損の枯死木も健全木と同等以上にシイタケ栽培に利用できることが明らかになった。
- 応用森林学会の論文
- 2001-03-20