チューブ法によるシカの食害防止について : シカと林業の共存を目指して
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
植栽木に筒状のツリーシェルターを被せる,いわゆる「チューブ法」を用いるシカの食害防止の効果を検証するため,バイトカルチャー(株)製の「ヘキサチューブ」を使用して,スギ及びヒノキをチューブで被覆した「被覆区」と被覆しない「対照区」の食害率,枯損率及び樹高生長を調査した。その結果,(1)食害率は,対照区でスギ80%,ヒノキ100%に対して,被覆区ではそれぞれ0%,7%で,チューブ法による食害防止効果の高いことが確認された。(2)枯損率は,スギでは被覆区(8%)が対照区(27%)を大きく下回ったが,ヒノキでは両試験区とも10%強で大差はなかった。(3)平均樹高については,スギで被覆区が対照区の2倍以上,ヒノキで3倍以上に達した。一方,被覆区で屈曲木の発生が観察され,特にヒノキの発生率(48%)が高かった。シカ等の野生動物と林業との共存が重要な課題となっている中,チューブ法はこのための有効な手段として期待できる。
- 応用森林学会の論文
- 1998-03-25