非漢字圏での日本語教育におけるローマ字使用問題 : 言語心理学的一考察
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概要
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本研究では、日本人が日本語の文章を内容把握を目的として読むとき、漢字の音の処理を行っているかどうかを検討した。研究目的は、日本語学習者が最終的に習得したいと思う、理想的な日本語の文章の読み方を示すデータを提供することである。本実験では、日本人被験者に、漢字エラーを入れた新聞記事を読んでもらい、被験者の目の動きを記録した。その結果、被験者は同音の漢字エラーより異音の漢字エラーによく気づいた。すなわち、被験者は、日本語の文章の内容把握のために漢字の音を処理していたことになる。日本人の文章の読み方が音声処理に頼るという本実験結果は、初級日本語教育において、話す力、聞く力をつけるためのローマ字使用を、間接的に支持するものである。
- 日本語教育方法研究会の論文
- 1995-04-02