阪神淡路大震災被災地における宗教の「当時」と「いま」(<特集>災禍と宗教)
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概要
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阪神淡路大震災の際、宗教団体・宗教者は被災者の救援活動に奮闘した。また昔ながらの祭りが、さらには被災者自らの創出になる慰霊の儀礼が被災者を連帯させ、互いに支え合う機会を提供していた。宗教は傷ついた人と社会に多大な貢献をなしえたといえる。では、この貢献はいつまで継続されたのだろう。時の経過とともに悲しく恐ろしかった過去の記憶が次第に薄れてゆくなか、宗教は被災者とどのように向き合ってきたのだろうか。かつての被災地における宗教の動向を検討することは、東日本大震災被災地のみならず、今後生起するやもしれない社会的危機の状況下で活動することになる宗教に対し、有益なデータを呈示することになるはずである。いま、かつての被災地では、宗教者は震災以前と変わらぬ日々を送る。彼らが大震災を念頭に行う活動としては、年に一度の犠牲者慰霊の儀礼執行に留まる。一方、被災者が創出した慰霊の儀礼は旧被災地を越えて普及しつつある。過去と現在の被災者との間の連帯が、新たな儀礼を介して、生成しつつあるのである。
- 2012-09-30
著者
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