内側からなぞる力(社会を動かすサイコセラピーの力,2011年,第52回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(横浜))
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概要
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筆者はシンポジウムテーマを論ずるに先立ち,精神保健医療領域の社会的現状について,米国において若い精神科医がDSMに記載された症状にのみとらわれ,患者固有の問題や社会的文脈との関連から病態をとらえる視点を失いつつあるというAndreasenの指摘に触れている.そしてわが国でも,エビデンスや客観性を重視するあまり,患者ではなく疾患を,その外側から評価することに終始し,患者の体験をその内側から理解する視点が貧困化しているとの社会的現状についての危機意識を述べている.そのうえで筆者は,精神保健医療に携わる医師,心理士,ケースワーカーといった専門職が,訓練を通じて精神分析的観点を臨床家アイデンティティの基礎として共有し,今日なおざりにされている患者の世界を内側からなぞる力を修得するならば,わが国のこの領域はその質を変え,社会は大きく動いていく可能性を秘めていることを,臨床素材を提示しながら論じている.
- 2012-09-01
著者
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