ゲームを利用した金融教育方法の実践と課題(統一論題「パーソナルファイナンスは今何ができるか」)
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概要
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本論文は、デジタルゲームを用いて金融教育を効率的に行う方法についての研究経過に一定の結論を与え、その報告としたものである。2005年にわが国では金融庁及び内閣府が金融教育の定義と目的を公表した。それは「金融経済リテラシー」という言葉に要約されており、合理的で心豊かな生活を送ることを目的としている。その後、現在までにおける金融教育研究では、金融教育と他の教育との相違や、英米の金融教育の違い、その内容についての理論研究と、アンケートやインタビューによる国内外の調査研究が行なわれてきた。そのような中、私はパーソナルファイナンス学会第9回全国大会において、金融教育がわが国において必要とされる背景と、金融教育に必要な要素の提示を行った。さらに第10回全国大会では、その具体的な解決手段として、「Massively Multiplayer On-lineによるICT教育の可能性を追求した金融経済教育の考察」を発表し、多人数同時参加型のICT(Massively Multiplayer Online Systemの特色)を転用した疑似体験型の金融教育の提言を行った。また具体的な教育方法として、デジタル教育コンテンツの開発等にも携わってきた。それらにおいては学習者が時と場所の制約を受けずに受講でき、教員は学習者の項目別進行状況を管理し、WEB試験により習得度を測ることができた。その一方で、(1)経験を積む教育とするには高い教育効果を得にくいこと、(2)意欲的・能動的な学習姿勢の喚起不足、(3)受講者へのフィードバックの弱さ、という3課題が残った。そこで私はこの課題の克服に向けて、2つのアプローチを試みた。1つはアナログの場における多人数同時参加型のインタラクティブ性を含んだ実証実験であり、もう1つはデジタルコンテンツにおける分析システムに関しての特許出願である。この2つの提案は先述の3課題に対し、相応の解決につながった。今後は、教室内でのアナログ実験のコンテンツ追加によるインタラクティブ要素の多様な応用と、個人単位のオフライン利用におけるデジタルゲームに対し被験者データを集めること、それらの十分な検証の後にイントラネット環境、インターネット環境へと広がりを持たせることが好ましいと考えている。
- 2012-09-20
著者
関連論文
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