民衆宗教としての創価学会 : 社会層と国家との関係から
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
民衆宗教とは社会的文化的政治的マイノリティーとしての「特徴」と「自己認識」を有している宗教運動であり、その研究方法には指導層と一般信者との階層差や格差、内部の非対称な支配関係などを捉えうる独自の方法が必要である。一試論として創価学会の運動を民衆宗教という視点から、社会層と国家との関連に限定して考察した。農村部から流入した都市下層民に、現世での新たな存在意義を確信させるアイデンティティー再確立過程に創価学会運動の民衆性を読み取ったが、社会層が上昇あるいは拡散していく中で、人生の勝利者・成功者という意識が強調されてマイノリティー意識が希薄化し、民衆宗教としての特徴を失っていった。この変化が決定的になったのは公明党が自民党との連立政権に参加した時期である。主たる支持者である創価学会員と党の理念的距離が大きく乖離し、支援運動の空転を招いた。両者の関係の再検証、再検討が必要な段階に至ったと言えよう。
- 2010-06-05
著者
関連論文
- 報告4.「民衆宗教」としての創価学会(「民衆宗教」研究の新展開-新しい「階級」の時代の宗教社会学-,テーマセッション5,2008年度学術大会・テーマセッション記録)
- 第28回ISSR/SISR(国際宗教社会学会)ザグレブ大会報告
- 評者・大谷栄一氏へのレスポンス(『戦後日本の宗教と政治』)
- メレディス・B・マクガイア著, 山中弘・伊藤雅之・岡本亮輔訳, 『宗教社会学-宗教と社会のダイナミックス-』, 明石書店, 二〇〇八年五月二〇日刊, A5判, 五五四頁, 三八〇〇円+税
- カルト/セクト論争と宗教的ナショナリズム(宗教の公共性 II 国際関係と公共空間 )
- 9.11同時多発テロとグローバル化
- グローバリゼーション論の再検討と宗教問題(綿貫譲治教授退任記念論集)
- 宗教とグローバリゼーション
- ウィルソン博士を追悼して(佐々木交賢・松本和良両教授退任記念論集)
- 宗教化する政治・政治化する宗教--ブッシュ政権と小泉政権の宗教依存をめぐって (特集 宗教復興の潮流)
- 仏教教団による新しい形態の政治参加
- ユルゲン・コッカ著, 『社会史とは何か』, 日本経済評論社, 2000年11月刊
- カルト/セクト論争と宗教的ナショナリズム : グローカル化過程におけるナショナル・アイデンティティの追求
- 宗教研究と現象学 : 宗教現象学と現象学的社会学の相関性をめぐって
- カルト/セクト論争と現代ナショナリズム
- ヨーロッパにおけるカルト論争
- 現代西洋における創価学会運動
- バクティベダンタ・スワミとクリシュナ意識運動
- 宗教と政治と国家--その比較文化社会学的考察(特別公開講演会より)
- 日本宗教の社会活動 (連続公開講演会「日本宗教の戦後50年」(第1回))
- 創価大学比較文化研究所プロジェクト(B) : 世界各国の宗教法制および宗教事情の研究
- 宗教団体および一般的な信仰に関する法律
- 続・宗教における伝統と現代性 (仏教の特質と現代社会)
- 日本の宗教教団と経済活動 (宗教と経済秩序)
- 現代社会における宗教の機能
- 宗教とグローバリゼーション
- 宗教における伝統と現代性 (宗教における伝統と現代性)
- オックスフォード報告
- コメント 近代合理主義の止揚と宗教の復権 (21世紀を考える--人類的課題と宗教)
- 国際化と日本文化 (国際化時代と日本文化)
- 天地の公道--日本戦中期における宗教と国家 (現代社会の変容と宗教社会学) -- (現代社会における国家と宗教)
- アメリカの対日宗教政策の形成
- グロ-バル・国際化と宗教 (国際化時代と宗教)
- 世俗化と宗教 : 「第19回国際宗教社会学会」報告
- 占領と日本宗教制度の改革--戦後日本の世俗化過程の一考察 (世俗社会と宗教--対立を越えて) -- (緊張を越えて)
- 世俗化論再考の諸問題 (世俗化論再考)
- コメンテ-タ-への返答(A Riposte) (科学的宗教研究の問われているもの-続-)
- 近代科学における宗教社会学の学問的位置 (科学的宗教研究の問われているもの)
- 近代化・世俗化・宗教 : 危機の時代からの再考察
- 東日本大震災から宗教と文明のこれからを考える (特集 大災害と文明の転換)
- 民衆宗教としての創価学会 : 社会層と国家との関係から
- コメント1(コメントの概要,今日のSGI-USA-"World Propagation"から"World Peace"へ-,テーマセッション1,2009年度学術大会・テーマセッション記録)