富山湾奥部における表層水中の栄養塩と植物プランクトン現存量の季節変動
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
富山湾奥部における栄養塩や植物プランクトン現存量の季節変化を把握するために,2006年4月から2008年2月にかけて調査を実施した.富山湾奥部における水質は,河川水の影響を強く受けていた.クロロフィルa濃度では夏季にピークが見られたが,栄養塩濃度には明瞭な季節変化が認められなかった.流量の多かった2006年においてクロロフィルa濃度が高く,またその継続期間も長かった.淡水供給量が多く,成層強度が強まったことがその要因と考えられる.神通川河口に近い定点では絶えず河川から栄養塩が供給されるため,DIN, DIPおよびDSiともに植物プランクトンの増殖を制限する下限濃度を下回ることがなく,栄養塩濃度によって植物プランクトンの増殖は制限されていなかったと推定される.一方,沖側の定点では,2006年の夏季と秋季には窒素制限,2007年にはリン制限と推定され,制限栄養塩は年によって異なった.低塩分域では栄養塩濃度は実質的に制限になっていないことや沖側では制限要因が窒素とリンで変化したことから,富山湾奥部におけるCODの環境基準を達成するためには,窒素とリンの負荷量をともに削減することが必要であると考えられる.
- 2012-02-29