遊びにおける幼児の身振りの様相とその意味 : 3歳児の関係性と身振りに着目して(第1部 自由論文)
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概要
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本研究では,遊び場面でみられる身振りに着目し,身振りの意味とその働きについて様相を明らかにすることを目的としている。【研究I】として,3歳児,4歳児,5歳児の遊び場面でみられる身振りについて観察し,どのような特徴があるのか量的に分析を行った。その結果,5歳児に自発的身振りが優位に多く,3歳児に身体操作身振りが優位に多いことが明らかになった。次に【研究II】では,【研究I】で多く身振りがみられた女児の集団を追いかけて観察し,質的に分析を行った。その結果,幼児が遊びの中で表す身振りには,(1)自分の中に生まれた感情を他者に伝える働き(2)自分の身振りに対する他者の反応を探る働き(3)自己と他者との間でイメージを双方向的に共有していく働きの3つの働きが存在することが明らかになった。また,この3つの働きの中で,(2)と(3)の身振りに関しては,子ども同士の関係性のあり方が身振りの【成立】【不成立】の要因となることが考えられた。よって,幼児の遊びにおいて表れる身振りは,その身振りを行う幼児とその対象となる幼児との関係性のあり方に強い影響を受けることが示唆された。
- 2012-08-31