フロリデーション実現への課題と対策 : 健康社会のための公衆衛生におけるフロリデーションの意義
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概要
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フロリデーションは,WHOが勧めるフッ化物応用として優先順位が一番高い方法であり,公衆衛生施策として,費用対効果やヘルスプロモーションの観点からも最も優れた方法であることは,米国やオーストラリアなど先進国の実情をみるまでもなく自明のことと言っても過言ではない.優れた施策であるにも関わらず,国内で実施できないのはどうしてなのか.それにはいくつかの原因が考えられるが3つを指摘したい.まず,水道法が挙げられる.WHOの推奨するフロリデーションにおけるフッ化物の至適濃度は温帯地域では0.5から1.0ppm である.日本の水道法では0.8ppm 以下となっており至適濃度の設定がない.次に,フッ化物応用に対し反対する勢力の存在である.そして,最後に国民の理解の問題である.この3つの課題をどのように解決するか.まず水道法については水質基準に関する省令の改正を行う必要がある.それには日本歯科医師会による国会議員等に対するアプローチが重要となる.反対する勢力への対応は,非難に対して的確なエビデンスでもって迅速にしっかり反論することにつきる.国民(市民)に対する啓発では,リーダーの存在が重要である.実施主体である自治体の中にリーダーを育成して,あらゆるチャンネルを使い,正しい理解を得るための唱道(アドボカシー)を継続していくことが求められる.
- 2012-07-30