基礎自治体による就労支援・雇用開拓 : 試行錯誤のリアリティ(<特集II>労働における差別と排除)
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概要
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本稿は、地方分権化のなかで就労支援と雇用開拓を迫られる基礎自治体(市町村)の試行錯誤の一端を明らかにする。本格的な雇用労政は殆ど未経験という地点から出発せねばならない殆どの基礎自治体は、どこまで実質的な政策が可能か。この問いには、実績値の参照よりはむしろ、試行錯誤のリアリティへの接近で答えるべきである。行財政学よりは社会学が得手とするこの作業を通して、月日を要することが正当だと示したい。「回って当然PDCA」的主張の跋扈を許したくないからである。豊中市を事例に本稿は、以下4つの知見を得た。(1)基礎自治体が雇用労政を充実させるには、時限付の外部複数財源をつなぎ合わせていかざるを得ない。(2)豊中市の雇用労政は綜合的である。(3)その理由は、就労困難者には福祉的な就労支援と基礎的な職業訓練が、中小零細企業には大手なら当然の労務管理の構築・改善や、求人・採用への支援が必要だという認識に基づく。(4)それゆえ双方に「手取り足取り」関与しており、誰が媒介者であれ、これは相当な時間を要する難事である。基礎自治体がここまでやる必然性はあるのか?この重要な問いに答えるには、上手くいくこと/いかないことが、行政組織法に、より直接の原因があるのか否かをさらに仔細に見る必要があろう。現在の産業職業構造の下で、雇用が減少し就労困難者が増加する過程では、中央集権の弊害は大きくなる。生存権は全国レベルで保障して、局所最適解を目指しやすい仕組みにする方がよい。
- 2011-06-30
著者
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