認知症対応型共同生活介護サービス従事者の労働環境の実情
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概要
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〔目的〕地域密着型のサービスへの移行に伴い,グループホーム(高齢者認知症対応型共同生活介護)の役割や期待はますます高まっている.しかし,そこには運営する事業所や従事者のかかえている課題が散在すると思われる.そこで,検討すべき課題を明確にすることで環境整備への糸口をみつけ,利用者や家族に望まれる在宅福祉サービスの質の向上と発展に寄与できればと考えた.〔方法〕A県下のグループホームを対象に職員の労働環境などに関する調査を実施した.〔結果〕その結果,以下のことが示唆された.(1)業務から離れての休憩時間や休憩場所については,十分な確保には至っていない.(2)職員研修は,「自己の専門性の不足」を感じている職員にとっては満足のいく実施回数とはなっていない.(3)従事者の悩みとして,「人手不足」「低賃金」「サービス残業が多い」「スタッフの能力のアンバランス」「スタッフ間や管理者との意思統一が図れない」といった課題があり,事業所も同じような課題をかかえていた.〔結論〕処遇面の改善や人材育成の促進による従事者の専門性の向上,事業所内の労働環境の改善や意識統一など,並行して整備することが望まれる.労働環境の改善に向けて早急に手を打たなければ従事者の士気は低下し,十分な介護ができず利用者の自立生活や生活意欲の向上を引き出すことも困難となることが予測される.さらには,利用者の要介護度の重度化やADLの低下へと結びつく可能性も否定できない.
- 2011-04-01