第1子出産前後の女性がパートナーに対して抱く愛情と出産の様相との関連
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究は,第1子を出産する前後の女性がパートナーに対して抱く愛情と,出産の様相との関連を明らかにすることを目的とした。関東の総合周産期母子医療センターにおいて第1子を出産する日本人女性243名を対象に,短期縦断的な調査を行い,176名(72.4%)を対象に分析を行った。調査では, (1)夫婦間親密性尺度, (2)変革につながるような出産経験尺度, (3)サポーティブケア尺度, (4)日常生活ケア尺度を使用し,以下の結果を得た。本研究の対象者は,カップル関係にとって有利な特性を有していた。女性がパートナーに対して抱く愛情は,出産後早期に上昇し,妊娠後期や育児期早期の愛情と有意差がみられた。重回帰分析の結果,出産後早期の愛情の高さは,助産師の身体的ケアや,満足・充足・感謝といった主観的出産体験,パートナーが会社員などのフルタイム労働に就いていることが説明力をもっていた。育児期早期の愛情は,パートナーが出産に立ち会った場合に高く,自己コントロール感を伴う主観的出産体験をしていた場合に低くなっていた。以上より,出産後の女性がパートナーに対して抱く愛情は,出産の様相によって変化しうるものであることが示された。